FUNNY BUNNY−鳥獣と寂寞の空− in 青山円形劇場(4/28)

中野から表参道に移動して円形劇場でこちらの作品を鑑賞してまいりました。以下感想とか。(これまたヘロッヘロ申し訳かつネタばれ念のため注意です)
・舞台上に立つ者たちからそれぞれ生み出される言葉たち。ただ流れさるだけでなく、一つひとつに確かな手ごたえと重みと意味を持つ台詞を登場人物達は口々に語る。その中から初めはなんとなく、その内徐々にはっきりした輪郭が現れ、描かれていく世界。ただしそれらの物語は複数に分かれ、更には幾つもの時間を軽々と超えながら進んでいく。冒頭に登場する自殺しようとした男を助けた小説家、彼の過去にあるエピソード、そこから展開し、もしくは過去に戻って語りなおすという自在な進行の中、現れてくるもの。
・本当に遣り切れない事件や身の置き所の無い感情といった要素も含まれていて、それらに対する登場人物たちの言葉や行動はそれこそこの舞台を作られた脚本・演出の飯塚健さんという方自身の考えの在り方が映し出されているのだろう。そう考えると井上和香さんいい方と結婚されたんだなぁと唐突だけど思ったりしました。
・お目当てだった城戸愛莉さんはペアを組んで動くことが多い香子さんという方と共に幾つかのキャラクターを活き活きと演じていました。これは他の方たち同士でも見られたけど、呼吸を合わせて同じタイミングで台詞をいうシーンが幾つもあって、ここまでのクオリティで全員ピタッとはめてくるまで仕上げるのにどれだけ稽古を積んだんだろうと思うと感服せざるをえない。口調の歯切れの良さや味と愛嬌ありつつきりっとした眼差しがやっぱよかったです。
井上和香さん、気風のいいお姉さん、かつて大切に想っていた存在を亡くした人、そしてエピソード間を結ぶ重要な人物。きっぷのいい話し口とすっとした雰囲気が役柄によくはまってました。
小林涼子さんのくっきりした語り方や元気な佇まいもいい感じだなと思いました。
数年前に観た同名の舞台(但しサブタイトルはなし)と題名同じだけど関連あるのかなぁ?と思ってたんですが、小林さんがまっすぐな眼差しであるエピソードを滔滔と語るシーンでああ、やはりこの作品覚えある!と感じたものの、でもオープニングとか別物だし、登場する人物が増えて時系列も複雑になってるし…と首傾げてたのですが、帰宅してパンフレットを読み疑問解決。そうか、あの2007年の舞台の続編だったんだ。なるほど。
・↑上記の時は美少女クラブ31のWリーダーのお1人、阪田瑞穂さんが出演されてたので観に行ったんだったなぁ。今回の観劇の起因となった城戸愛莉さんの存在といい、元々応援してたりある舞台をきっかけに興味を持ったりした人が出ているという理由で鑑賞してうわ、すげーよかった、という作品が多々あって、その意味でもアイドル好きでよかったなーと改めて思ったり。や、ホンマもんの舞台好きな方からしたらまったくもってジャドウも極めたりな発端で申し訳なんですが。ただその中で物語の描きかたや舞台上で表れてくる考え方、客演も含めた座組の在り方とか諸々ひっくるめて何かいいな、と思う劇団さんも幾つか出てきて、そういった団体さんの作品は演劇関係のメルマガとかでも着目するようになったり、という流れもありはするんですけど。
・あと、当時もですが語ること、言葉で表すという部分がかなりあることからストーリーテラーの魅力を強く覚えさせる作品でもあるなと感じます。
・とにかく充実した時を過ごさせてもらいました。軽いジャブ的な笑いの要素も含めつつ、世界で起こる気持ちを沈ませる事柄も真摯に描き、そして軽みと熱とそこに居る確かさを並存させた登場人物たちのありように笑い圧倒され気持ちを揺さぶられ、なのにすっと心に残される後味にはこの先へ向かう気持ちが織り込まれているという風で、魅力ある舞台でした。
追記:2007年時の舞台のチラシが見つかったので、掲載してみます。

うーむ懐かしい。この作品での阪田さんの役柄ほんとよかったんだよなぁ。