劇団時間制作第二十一回本公演『赤すぎて、黒』in 大塚 萬劇場(3/8)

18時の回Bチーム観てきましたー以下感想とか(ヘロヘロ申し訳&念のためネタばれ注意)。

 ・2つの家が並んだセット。幕開けの何やら訳がありそうな男女のやり取りから彼らの家族と関わる人々が現れる。騒がしかったり明るかったり少しヤバげだったりしながらも仲良い家庭の光景、と見えていた所から徐々に観ている側にんん?と感じさせる展開に。
・さり気ない会話に覚える違和感、明らかにヤバい雰囲気醸し出す人物の登場、やがて明らかになる一方の家族に秘められた凄惨な過去。それぞれに愛を持って受け止めようとする者、大切な存在を守ろうと必死になる者、絶望に彩られた諦念に絡め取られつつそれでもどうにか、とあがく者、“他人”としてだからこそ描くことを望む者…。
・こちらの作品のモチーフになった事件、以前概略は目にした事がありました。恐ろしいなと感じたのは、果たして自らの身に置き換えた時に、どのような行動が出来るのか。当事者になったとしたら。身近な存在が巻き込まれたら。その時、とてもではないけれど自分が正しいと思う道を貫く強さがあるとは信じられない。
・だからこそ、この物語が進むにつれ、容赦なく放たれる激情、繰り広げられるやり取りの強烈さに思わず顔を伏せる事も幾度かあった。演出というより、自身から数メートル離れたステージの上で実際にその住人達がそれらの出来事を経験している様子を見ているように思えてきたから。
・しかし、そのような強烈なエピソードを取り扱っているにも関わらず、この作品に触れたくはなかった、と思わせないのは、登場する人物達への眼差し、彼らのちょっとした発言や仕草、会話等から例えこの人明らかにヤベぇ、という人物についてもどこかしら生活感を覚えるような個性や輪郭の描かれ方から来るのかなと。ストーリーの組み立て方自体についても、重いけれどほのかな向日性を感じさせる
ような。そういう部分で、個人的には以前鑑賞した村上東奈さんがメインを務めてらした多重人格の女性を描いた作品を思い起こしたりもしたんでした。
・今回お目当てだった小川麻琴さん。妹とのやり取りとかで持ち味活かした感じの茶目っ気見せつつ、いち早く今回の事態のキーとなる事実を知り、家族を守ろうとする想いの強さから激しさを迸らせる際の迫力には震えがくる程でした。存在感、表情の豊かさ、此度も魅せられました。
という事で、本当観れてよかったです。