秦組vol.3 2010年7月公演『らん』(7/10)

14時の回行ってきました。以下感想的な(すごいヘロヘロで申し訳です&念のためネタばれ注意で)
俳優座劇場、場所がギロッポンという田舎モンには緊張する街にあるけれども駅から近いのでそれほどプレッシャー(大げさな)感じない内に中に入れて助かりますね。
・実は事前に他の舞台のチケット購入したりPASUMOに入金したり更にこちらの舞台のチケットは予約のみだったので受付で代金支払い等してたらうっかり財布の中身が小銭ONLYに。でもパンフレットは買いたい!てことで一旦席に着いてから改めて懐具合を改めたら500円玉と100円玉でギリッギリ1,000円あった時にはよっしゃぁー!思いました(しかしボーナス出たばかりなのに金減り過ぎ…)。
・他劇団さんのとかもだけど、こういうパンフレットに掲載されてる稽古風景のショット見るの楽しみだったりします。
・開演までの間に、出演者さん(っすよね?)からの前説&注意事項や作・演出の秦建日子さんの挨拶がありました。前説の方が矢島さんの生写真紹介する際の「僕も後で買います」という発言に会場から笑いが。
・そして少し時間押して始まったこちらの公演。まず導入がスムーズで、登場人物の描かれ方が丁寧かつ面白みがあって、かたり口が軽やか。主人公の少女が10年間想い続けてた想い人正太郎(村井良大さん)がナンパな女好きってのもニヤりとさせられる(子供時代に出会う場面もいいっすよね)。その上腕っ節も優しさもあるヤツってんだもの、そりゃモテるわ。“目を見て好きって言えるか”をイケシャーシャーとクリアしてしまうスケコマシっぷりもナイス。
・矢島さん演じる主人公の少女らんの純粋さと強さ、そしてどこか天然なとことかまさに彼女のハマリ役でした。殺陣のシーンも安心して見られる、てか普通に周囲の舞台人な方々に溶け込んでて観てる側も頑張ってるなーて意識でなくもう女優として物語の中の一人物としての存在感に惹きつけられてるような状態に。スッとした立ち振る舞いもとても演劇のステージにしっくりくるというか。
工藤里紗さん演じるお綾とらんと正太郎の三角関係シーン、お綾の例え話連発がグッド。
・らんの仲間で恋人候補なイタチ、切ないな…。ちょと“鬼シリーズ”のある人物思い出した。
・らんを取り巻く赤谷の仲間達が、村人達の上辺の約束を信じていないにも関わらず、娘(でありなおかつ姉、妹、恋人候補)であるらんのためにその行動を助ける一連の場面は心が熱くなった。
・オトノマン!あーバカ殿はホントバカ殿だー。でも昔の都からの派遣貴族やら何やらはこういう人がほとんどだったんだろうな。それだけに近世大名とかで領地の農民の立場に立って改革したような殿様は現代にまで名君として伝えられるのも無理はないなーって話ずれました。
・舞台中で流れる音楽が全て生演奏て贅沢だよなー。しかも津軽三味線とピアノとクラリネットが生み出すその音楽がストーリー上の効果を増幅させる度合いが尋常でない。ホントカッケー。
・この話が抱えている人の本質のやりきれなさは到底救いが無くて、もちろん舞台として多少の伝えやすさ効果を重視した架空の時代ではあるだろうけれども搾取する・される、差別する・されるの構図は形と程度を減じたり変えつつも今にも続いてしまっていると言えるものだと思う。でもこの作品ではそういった事象を真っ向から突きつけるのでなくて、愉快だったり勢いにのったり安らいだりと緩急ついた進め方のなかで、流されたり多勢に押し切られたりするけれどもそんな中で出来るだけの誠実さを通そうとする優しさや強さの存在、弱くて卑怯な人物の精一杯の胸のうちや一途な想いの吐露といった幾つもの場面を通して、その世界を生きた人々の息遣いを誠実に表現しようという心持を感じたような気がした。
・矢島さんが演じた少女が村を捨て切れなかった想い人と闘うシーン、そしてラストの女性2人の去っていった仲間への呼びかけとこれまた生きていた支配者と村人とのやり取りとがオーバーラップする場面、胸が痛くなった。
という具合で、とても物語世界に惹き込まれる舞台でした。矢島さんも持ち味・運動神経が200%発揮され、なおかつ彼女の努力が存分に実になっていてほんと愛理ちゃん岡井ちゃんがブログで書いてたとおり“女優:矢島舞美”という存在感だったと思います。ハロコンのリハや番組と並行してこれだけの役柄を作り上げたんだからまったくもってすごいなぁ。本当に観ることができてよかった作品でした。DVDもぜひ購入したいです。
あと出来たらまた矢島さんは外部舞台出演もして欲しいなと強く思いました。