こまつ座 第99回公演『うかうか三十、ちょろちょろ四十』in 紀伊國屋サザンシアター(5/31)

5月末に観てきておりました。以下感想とか(ヘロヘロ申し訳&一応ネタばれ注意)。
・小川のマコラッチョ出演の舞台鑑賞後、山手線乗って新宿へ。1時間弱時間空いたので新南口改札最寄りの店にて夕食を取った後、タカシマヤ方面へ。持ってたのは指定席引換券だったので開場後受付で交換してもらい、中に入る。ステージ上には日本むかし話に出てきそうな系の家のセットが。
・場内には結構関係者っぽい人たちの姿があり、そこかしこで挨拶とかなされたりしてる。後ろの席にもそちら系(系?)の方々が座っていて、配られたチラシからの流れで『ペテン師と詐欺師』の話になってて「ソニンとか出てて」「あ、ソニンいいよねー」といった会話がなされてて内心おおーとちょと嬉しくなったりしてる内に19時になり開演。
・物語は、かいつまんで言うと、

とある村のとのさま(パンフレットによると武家ではなく大地主らしい)がお付きの侍医と共に村はずれの桜が見事な陋屋を訪れ、そこに住む器量よしで溌剌とした娘・ちかに恋をするけど将来を誓った相手がいるからとあっけなく振られる→ショック受けつつ帰る途中で雷雨にやられておかしくなってしまう→数年後想い人と結ばれているちかだがその夫・権ずは胸の病で寝付いている。夫婦の間には娘が1人いる。→ずっと寝たきりの権ずは思うにまかせない体のせいでいらつき怒りっぽくなっている。そんな中に怪しげな2人組がやってくるが、それは実は嵐の夜におかしくなったきり何故かお医者さんごっこ(そっちの意味じゃない)(そっちて何)するようになってしまったとのさまとその侍医だった。→2人は寝付いた権ずは病ではなく健康体だと断言、それを信じた権ずは喜び、すっかり元気になるが妻のちかは去っていく2人を見て不安そうになる。→その後、とのさまの家来が訪ねてきて真相(2人は医者などではなく病人を健康体だと診断して喜んでる)を告げる。権ずはショックを受け前にも増して怒りっぽく気弱になり寝込んでしまう。→更に数年後、治ったとのさまと年を取った侍医が村はずれの陋屋を訪ねると以前振られた娘(とのさまは正常な時の記憶はそこまでしかない)と瓜二つの娘に出会う。→もう一度告白するも振られる。→帰りに数年前同様嵐に会うが、もうおかしくなりたくはない、と侍医と共に叫ぶ→そして更に時が経ち、舞台上にはすっかり壊れ果てた陋屋の傍に何も変わらず花びらを散らせている桜の大木が…→幕。

みたいな感じで(テキトウすみません)。
・観終えて、とても寂しい物語だと思った。とのさまを演じる藤井隆さんはバラエティでのキャラクターどおりユカイだったりオチャメだったりするあの空気感でもって純真な恋をする人物を演じるのだけど、その佇まい自体が戯画的で物語全体に流れる寂寥感のようなものを助長していたりする。
・ちかとその娘のれいを演じていた個人的にお目当てだった福田沙紀さんも、凛とした佇まいと溌剌とした笑顔でとのさま相手にもはっきり意志表示をする娘役がお似合いでした。笑顔が明るくはきはきした雰囲気がハマっているだけに、ちか役の時の鈴木裕樹さん演じる権ずがやはり病であることを思い知らされた時の打ちのめされて2人で抱き合う場面や、その後両親の死に目にあってきたれいの透徹した眼差しが胸に迫るものがありました。
・あと、パンフレットにおける“東北学”を提唱している学者である赤坂憲雄教授とこまつ座代表取締役である井上麻矢さんの対談が舞台内容を解釈するのに大きな助けになったといいますか。こちらの内容を読むことで作品内で描かれている登場人物の背景がより理解しやすくなる、むしろ読まないとわからないことだらけとも思いました。
という具合で、物語的には同じ場所を舞台に淡々と進んでいくのだけど、その中で繰り広げられる人間模様と、彼らの生きる場所を形作る世界の在り様そのものについてまで思いを馳せてしまうような作品でした。観ることが出来てよかったです。そしてふくさきさんの演技も今後も観続けていきたいな、更に色んな役を演じている姿を目にしたいなとも思ったです。