読売新聞夕刊月一矢口さん連載の書き抜きなどを。

ZYX矢口真里の絶対夢を倍に!』(第3回)

「新しいユニット「ZYX(ジックス)」がデビューしてから、ひと月半が過ぎました。おいらが小学生の時は緊張しやすいタイプで、人前に出ると何もできなくなっちゃったんですけど、小学生のメンバーたちは結構、度胸があって、「今の子はすごいな」と改めてびっくりしました。
 テレビ朝日系の「ミュージックステーション」に出演した時も、おいらが一番緊張していたくらい。「ミュージックステーション」の生放送は毎回緊張するんですが、その中でもベスト3に入るほど(笑)。小学生のキッズを心配するより、自分のことで、いっぱいいっぱいでした。
 でも、キッズのみんなは全然緊張していない。ZYXのデビュー曲の踊りは、おいらが「モーニング娘。」でデビューした時の曲より難しいんです。当時のおいらじゃ、多分踊れない。そんな難易度の高い曲をいきなりこなす小学生って、どんな大人になるんだろうと思いました。
 でも、やっぱり小学生だなぁと思ったことも。TBS系の「うたばん」に出た時は、スタジオにお化け屋敷のセットが作ってあったんです。おいらはすごい怖がりで、お化け屋敷が大嫌い。「ああ、嫌だなー」と思っていたんですけど、それ以上に、みんなが怖がりで本気で泣き出すんです。おいらもすごく怖かったんですけど、それを見て怖がっている場合じゃない、みんなを引っ張っていかなきゃと思いましたね。
 トークの時も、小学生らしさを発揮していました(笑)。誰かが話している時は話しちゃいけないのに、みんな一緒に我も我もと騒いじゃう。やっぱり慣れていないんだなと思いました。
 でも、二十歳のおいらから見ると、小学生はとにかく若い!
 ビデオ撮影で踊りっぱなしの時も、息切れしないんですよ。汗をかいているのは、おいら一人。ものすごく体力のある子たちで、休憩時間も休まない。ずーっと遊んでる。学校の話とか、ワイワイワイワイやってて、おいらはその横で休憩していました(笑)。
 昔は朝から晩までぶっ通しで走っていたというか休む暇のないのが自分のペースだったんですけど、最近は休憩を入れないと、きつくなってきた(笑)。キッズのみんなから「いつも漫画読んでますね」って言われたり。みんなは多分、おいらのことを静かな人だと思っていますね。

実際にZYXの活動を始めて感じたのは、これまで「モーニング娘。」のメンバーにどれだけ助けられていたかということ。一人での仕事が増えるにつれて、自分の弱さとか苦手な部分が目立ってきて、おいら自身がもうちょっと成長しなきゃいけないなと思いました。
 今回も「モーニング娘。」のメンバーが「頑張れー」と言ってくれたり、本当に心配してくれているんです。ZYXも好調なスタートを切れたことだし、これだけ応援してくれているんだから、もっと頑張らなきゃ、もっと成長しなきゃと改めて感じています。

実際の構成にライターさんの手がどれくらい入っているかはわからないけど、少なくともこの連載においては矢口さん自身の言葉が汲み取れると思います。自分が矢口さんのことが好きな理由は、キャラクターや歌声も勿論ですが、それ以上に自身を客観視する力を持ち、自らの立場を振り返る姿勢を崩すことのない謙虚な努力家であることです。時に自らを追い込みすぎ、見ている側をハラハラさせることもあるけど、いつでもその場を明るく元気にするエンターティナーであろうとするその心意気は賞賛に値します。時折見せる弱さやまっすぐな故の不器用さも含めて、これからもずっとファンでありつづけたいと思います。

とりあえず10月10日(金)には「おいら(仮)」が発売。延期になった時はちょいドキドキしたけど(でもあのタイミングよりは落ち着いた時期に発売した方がよかったとも思える)、ついに矢口さんの心境の一端に触れる機会が来るわけた。すげーなぁ。この調子で他のメンバーのエッセイも発売されたらいいけどね。吉澤さんとか雑誌連載の分たまったらすぐ本に出来そうだし、加護さんや紺野さんの文章も読んでみたい。小川さんは・・どうだろう?各雑誌にバラバラの連載があった人とかはまとめて「月刊〇〇」みたくして出せるといいよね、藤本さんとか。