真田十勇士〜ボクらが守りたかったもの〜 in 天王洲銀河劇場(12/4)

観てまいりました。以下感想とか(ヘロヘロ記述申し訳&一応ネタばれ注意)
・さて、物語自体については、個人的に結構徳川家康公については誰かが天下を統一しなければ戦国の世が終わらなかった中で彼の手によってそれがなされたのは意義有ることだったんじゃないか的にまーどちらかと言えばとらえてる系(系?)の人間ですのでここでの家康さんの超☆ダークなキャラクターは突き抜けまくって逆にある意味すげー!みたいなカンジではあるのですがそれはともかく、観劇の目的であったガキさんこと新垣里沙さんについて。
ガキさんが演じたのは、主人公である猿飛佐助(稲葉友さん)と同じ村で育った娘、雪乃。佐助とは幼い頃から共に遊んで気心知れた仲であると共に、彼と互角に戦える程の腕の持ち主でもある。真田幸村忍成修吾さん)に呼ばれて十勇士の世話をしている。
・で、その雪乃という女性について、キャストページでも写真UPが他のメンバーより後だったりしたしゲスト的扱いなのかなーと勝手に予測しててガキさんの殺陣シーンが格好よければ満足だよな、うん、位の予防線張って観に行ったのですが、観賞しながら既に反省しました。前述の判断大間違いだった。何あの活躍っぷり。前半は佐助や十勇士一同と軽口叩いたり言い寄ってくるのをあしらったり伝書鳩をうっかり美味しく調理してしまったりと和やか(和やか?)なシーンも多々あってあーガキさんの持ち味出てるなーとのほほんと観てたんですけど、物語が佳境に入ってきてからがかなりな勢いで雪乃が話に関わってくる。幸村に村に戻れと命じられた雪乃、しかし村は敵からの思わぬ襲撃で1人の若者を残し皆殺されてしまっていた。敵の軍勢に立ち向かう雪乃だが忽然と現れた襲撃部隊の主、服部半蔵(吉田友一さん)に殺されかける。そこに急いで駆けつけた幸村が半蔵と打ち合うが、かすり傷を毒にやられてしまった幸村に、自分も十勇士として戦わせて欲しいと願う。しかしその願いは拒否され、1人残った村の若者を十勇士に加える幸村。何故でございますと涙ながらに問う雪乃に幸村は告げる。我が身に万一の事があれば、お前が真田幸村として十勇士を率いて家康を討てと。そのような事にはならないと激しく拒む雪乃だったが、重ねての言葉、ついには命じられて頷かざるを得なくなる。その後、医術に長ける穴山小介伊阪達也さん)の診断により解毒となる苔が存在することがわかるが、その生育地は寄りによって敵の本拠である三河の地だった。穴山に請われ、また自らもその苔を取りにいくことを志願する雪乃。一人では危険だと反対する幸村だったが、怪力の持ち主望月六郎(吉岡佑さん)と共に向かうことでついに頼む、と折れる。早速出立した雪乃と六郎だったが、案の定敵の手に陥ってしまい…
・てこの調子で書いてたらえらい分量なってしまうので端折りますが一時捉えられてしまう雪乃だけど幸村に命じられた霧隠才蔵秋山真太郎さん)と、自ら責任を感じて駆けつけてきた六郎により結果的にその身は助かる。が、六郎に隠された秘密、彼が人造人間ーからくり人間であることからその動力となっていたエレキテルが徳川一味の野望に欠かせないことが判明し、エレキテルを奪われた六郎は爆発。同時期に真田一同は豊臣に呼びつけられ、幸村は無茶な大阪城篭城策に反対するも対案として進言した策−城外へ打って出、家康を討つ−を退けられてしまい、せめてと望んだ徳川に相対する砦(でしたっけ?)を築くことを願う。十勇士を死なせたくないとこの後の進む道について問うた結果、雪乃を皮切りに十勇士が幸村と運命を共にすると立ち上がる…一人以外。
・でそれが主人公である佐助である意味最もな理由で一同から離れることを選んでたんですけど、そこで佐助が雪乃に問うた「お前が守りたいものはここにあるのか」と雪乃の「はい」という言葉がその後生きてくるんですよもう。
・そして家康を追って卍衆や半分洋風入ったような化け物陣と戦って一旦ピンチに陥るも「自分も守りたいものがいる」と戻ってきた佐助が再び合流したことで相手の陣営をじわじわ削っていってでも一人ずつ十勇士が倒れていって、で、そうなったら雪乃も途中で倒れてしまうのか…と覚悟(覚悟?)するじゃないですか。でも、違う。
・いよいよ毒が廻って最期の時を迎える幸村。もう目の前もよく見えない状態で雪乃に今ひとたび命を伝える。認めることは殿が…と拒む雪乃だったが、渾身の気力で伝えられ、ついに身代わりとなり幸村の名を受け継ぐことを請ける。そして残った仲間、才蔵と、そして佐助と共に家康に立ち向かい、一時倒したかと思ったけれど実はそれは影武者。幾体もの家康が現れ出たのを目にして愕然とするも、片っ端から立ち向かうだけだ!と豪語する佐助と雪乃と才蔵だった…。
・ということで全然端折れてなくて重ね重ね申し訳なんですけど、上記のような物語ってことでガキさんラストまで残ってしかも大活躍って訳がお分かりでしょうか。しかもその中に名シーンが幾つもありよる。
・まず幸村が毒にやられた際の、懸命に毒を吸い出そうとする必死な姿、その後の身代わりを命じられた際の表情、敵に捉えられ、その陣営の非人道的な有様(己の手駒の筈の卍衆を人扱いせず簡単に殺すような)に愕然とし、己の見張り役である卍衆に助けを求められ手を取るもその者が殺されてしまう際の叫び、自分を救出するため駆けつけた六郎が敵の手で破壊され一時意識を取り戻した彼を連れ戻ろうとするも自爆装置が働き果たせず才蔵に引き戻されながらの慟哭、仲間と離れても真田の元を去るという佐助とのやり取り、幸村に最期の頼みを伝えられる時の涙(ここでは能動的に幸村の手を取ったりとかはなくて〈それはどちらかというと医療を手がける小介さんの方の役割〉ただありったけの感情を込めて主君の顔を見上げ、涙を噛み締めるってのがまたヤバくて)、そしてラスト、背中合わせで影武者達に向う際の佐助と雪乃の絶望を通り超えた、透徹した力強い笑顔…ほんっともーヤバイ。舞台『リボーン』では自らの凄惨な運命に基づく悲壮さと母性に裏付けられた愛情を演じきったガキさんですが、ここではミュージカル『リボンの騎士』や『シンデレラ』における騎士や王子のような凛々しさと守るものへ向けた情とが併せられてて更に女性としての明るさ爽やかさ優しさ、そして人を想う心が加わってまた新たな魅力ある姿を観ることが出来たと思います。これまで演じてきた役柄が確実に彼女の中で活きて、そしてそもそも持つ心意気と佇まいが合わさって、雪乃という女性が舞台上で生きたのだと感じました。
・幸村と、佐助と、雪乃と。それぞれの「守りたいもの」。後者2人はそのものについて、直截には言葉にしない。ただ、眼差しで心で、その想いは確かに表されていて、そこら辺がもー切ねぇ。確かにこりゃ友情物語であると共に恋愛要素満点っすわ。
・もちろん王道となる仲間との心のつながりや主人公である佐助の戦うことへの葛藤、真田幸村という語り継がれるほどの優れた武将の在り方も見応えあり。時間なくてDVD注文とか出来なかったけど予約しとくべきだったと後悔。
ということで、観れてよかったと思う作品でありました。ほんともーガキさん素敵だった。今後も彼女には今回のような外部舞台への出演も続けて欲しいなと強く思ったひとときでありました。