舞台『流れる雲よ 2011』 in 新国立劇場小ホール(6/15)

マコラッチョの出演するProject Teamの公演を観てきました。以下感想とか(大層ヘロッヘロで申し訳です&念のためネタばれ注意)
・今回の新国立劇場は職場から早足で歩けば20分弱で着けることが判明しました(つ、疲れた…!)。
・ここって以前ソニン出演の『ヘンリー六世』を中劇場で観劇したんだよな。今日は地下に降りたところにある小劇場が上演会場。中々いい雰囲気の場内。
・開場時間ちょい過ぎに入ってパンフ買って座席へ。ファンクラブ経由ってことでA列だったんですが思った以上にステージに近!これって演者さん達が登場したら間近に来ることもあるんじゃないか、とビビる。(のちほどその予想は現実に)。
・開演10分くらい前に日替わりMC?の女性登場。諸注意のあと、当日パンフレットのキャスト紹介の一覧を用いて物語に登場する人物の説明が。これは初見者に親切設計すね。
・アンケートにちゃんと鉛筆と記述用の板が添えられてるのもおおーと思った。こういう気遣いが実行されてるってさり気に感心しますね。
・配付物の中にはマコラッチョの7月の出演作『黒椿』チラシやM-line clubのペーパーも挟んであってちょとテンションUP(単純)。
・18時半、開演。2011年の現在(正確に言えばちょっと先)のラジオ局と過去の1945年鹿児島の航空隊とのリンク。軽妙にやり取りしつつも、8月15日の特集のあり方について論じ合うラジオ局の面々、特攻命令が下る日が迫る中、様々な事情や想いを抱く隊員たち。物語の導入やテンポ、演じ方、訓練場面や飛行・特攻場面の描き方、それぞれバランスがいいなと思いました。
・そしてなんといってもキャスト陣の演技。笑いを取る部分は軽やかに、激情に駆られる場面、気持ちを揺さぶられるシーン、“特攻隊”にからむエピソードにしても、けして過剰な演出がされてる訳でもないのに、シンプルに真摯に描かれる登場人物たちの想いが客席に響いて胸が痛くなる。てかこれ絶対ヤバいわハンカチ持ってないと。
・今回の観劇の目的だった小川さん、特攻隊員と淡い恋を育むも終戦間際の特攻で相手が出撃することになってしまう、という女学生。当時貴重であったろう飛行用の絹のマフラーを最後にプレゼントされ、その手を取って特攻人形を手渡す、彼が走り去っていったあとに振り絞るような想いの独白はとても心に伝わってくるものでした。
・バランスという点では、命令する側、見送る側の気持ちも描かれてたのがまたよかったなーとも。
・座ってたちょっと後ろの方で「小川麻琴、さすがカワイイよねー」との会話が聞こえてきて心の中でガッツポーズ。
・戦争そのものや、そこに至るまでの事象を文学や映画、ドラマ、そして舞台といった創作で取り上げる時、その描き方や表現など、時代や思想によって左右されがちなナイーブさがあって単純に割り切れない(割り切ってはいけない)部分があると思う。正直、戦前の日本には、人情などの良さの反面、地方と都市の格差や超えられない身分・性差等の壁など問題点も沢っ山あったと思うんでシンプルに過去バンザイともいえないしなぁ…。
・でもとりあえず、その時々の世情に流されない眼を養うためには、これまで日本という国が辿ってきた道、支えてきた人達のことを想像力をもって学ばなければなと。その意味で昨年観た『MOTHER〜特攻の母 鳥濱トメ物語〜』やこの『流れる雲よ』で当時生きた人達の姿に触れられたというのは大事な機会であったなと、そんでもってそのきっかけになったマコラッチョの出演てのはありがたかったなとか、かるく言えばとっつきやすい筆致で真摯な眼差しで“特攻”という題材を扱うこちらの作品の再演が続いているのは大切なことだなとか、つらつら考えたりした帰り道でありました。観ることが出来てよかったです。