大森ヒロシ プロデュース VOL.3『あおげば』in 中野テアトルBONBON(12/8)

昨日の夜公演を観に行っておりました。以下感想とか(ヘロヘロ申し訳&念のためネタばれ注意)。
スマイレージin立川終了後、中央線に乗車し中野へ。中野駅南口の住宅地を通り抜け3つの劇場が寄り集う地へ。19時の開場を待って中に入ると、最前列なのわかってたけど想像以上のステージまでの近さにうっわーマジ!?と。なんたって椅子に腰掛けると舞台と膝の距離約20cmくらいですもん。そのまま開演して役者さんが目の前に立ったりしたらビビりますってそりゃ。
・でも、いざ物語がスタートすると、その世界に引き込まれた。とある山間の分校を舞台に繰り広げられる人間模様。やや天然なのかオトシ入ってるのかビミョウなラインの校長をはじめ、将来管理職を目指すしっかり者の教諭、オドけモノの年数は重ねている臨時講師、かつてこの校舎で学んでいて再び戻ってきた新任教諭といった先生方と、役場から派遣されているやはり卒業生である事務長、その同級生の測量士、そして上記の新任教諭と同期の卒業生達に、今年度分校を旅立っていく中学3年生というメンツ。彼らが、冒頭ではコミカルなやり取りで卒業式の準備したり生徒数の減少を嘆じたり久々の再会に沸いたりする中、かつて村に発生した災害とそれにからんで学校で起きた事件が彼らの間の感情を波立て、徐々にこの村が抱える、村の人々を2分するような大きな問題が明らかになってくる。だがしかし…という流れで、それぞれが思う正しさ、立場の違いが生み出す感情のもつれとそれが生み出す対立という何とも遣る瀬無い、消化しがたい問題が描かれながらもひたすら重いばかりにはならず胸が温められたり心がぎゅっとなったりするのは、舞台上に居る登場人物達が迷い悩みながら大切な存在を守ろうとし、また新たな世代の強さやしなやかさを信じようとする心が表れているからかと感じた。
・で、この日お目当てでした三好絵梨香さん、こちらの作品出演のために久しぶりに上京されている状況(シャレではないです)な訳ですが、いやぁいい意味でお変わりなくて嬉しかった。その明るさも悪気無くズバッとした発言しちゃう的なキャラも(あくまでもキャラ)にゃはっとした笑顔も真剣な表情になったときの眼差しも、どの姿もやはり素敵でした。演じてらした役柄にもハマッてた!
・やすすさんこと保田圭さん、こちらはまた真っ当に新任教師役で、凛々しく真っ直ぐキリリとしていてでも情があって生徒想い友人想いという役がお似合いでした。ほんと保田さんはこうしたしっかりした役から陰のある女性から皆にイジられる幼児から(それはハロモニ。コントだ)様々なキャラクターが出来てすごいっすね。
・あと、登場する人々の中では伴美奈子さん演じる経験を積んだ落ち着きのある、でも実は過去に辛い経験をしている女性教師と、ハキハキして屈託無いようで、でもキーポイントとなるキャラクターである青年(岩田有弘さん)が特に印象残りました。
それぞれ事情がある中で問題を瞬時にどの立場にも納得いく形で解決する方策など無い、でも闇雲に争い対立するばかりではなく互いに行動し対話していくこと、それがどれほど困難であるかは、この物語上で存在は語られるも実際には登場しない2人の人物の辿った運命からも読み取れる、でも同時に彼らや、それこそステージ上に存在する登場人物達が築いていくだろうこの先の世界では、少しずつでも状況は進んでいくのではないか、そういう希望を感じさせられる作品でした。やーでもホントズシっとくるばかりでなく要所要所でのギャグもこちらのシリーズお馴染みなカンジで健在ですし、観ること出来てよかったです。